Letter

精巣胚細胞腫:精巣胚細胞腫への感受性に影響を及ぼす19の新規リスク座位と有望な調節機構の同定

Nature Genetics 49, 7 doi: 10.1038/ng.3896

ゲノムワイド関連研究(GWAS)により精巣胚細胞腫(TGCT)の感受性についての理解が進んだが、その遺伝率の多くは説明されていない。本論文では、新しいGWASを実施し、その後に、これまでのGWASと合わせたメタ解析を行い、さらに一連の追試研究を行うことで、合計として7,319例のTGCT症例と23,082例の対照について解析したことを報告する。19の新規TGCTリスク座位が明らかになり、既知のTGCTリスク座位がこれまでのおよそ2倍の44座位になった。TGCT細胞でのin situHi-Cを行うことで、44全てのTGCTリスクSNPと候補となる原因遺伝子との間の物理的相互作用ネットワークの証拠を明らかにした。我々の知見は、TGCT感受性の基盤として、発生の際の転写調節因子が広範囲に異常となることが関与していることを示しており、これは発がんの開始段階として始原生殖細胞の分化が起こらないことと一致している。また、微小管の組み立て異常や KIT–MAPKシグナル伝達の調節異常も、よく見られるTGCT経路障害の特徴である。我々の知見はリスクの多遺伝子性モデルを裏付けており、TGCTの生物学的基盤を解明する手掛かりを提供するものである。

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