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2型糖尿病:配列バリアントが血糖値の分散に及ぼす効果によって、2型糖尿病の発症リスクが予測でき、遺伝率が説明される
Nature Genetics 49, 9 doi: 10.1038/ng.3928
平均空腹時血糖値を変化させる配列バリアントが、必ずしも2型糖尿病(T2D)の発症リスクに影響するわけではない。本論文では、アイスランド人集団6万9142人を対象に、血糖値への関連が知られている36の配列バリアントが、異なる被験者間、および同一被験者内における空腹時血糖値の分散に及ぼす効果を詳細に調べた。空腹時血糖値を上昇させるTCF7L2のバリアントでは、被験者間の分散が増大していた(対立遺伝子ごとに5.7%、P = 4.2 × 10−10)。一方、空腹時血糖値を上昇させるGCKおよびG6PC2のバリアントでは、被験者間の分散は減少していた(それぞれ、対立遺伝子ごとに7.5%、P = 4.9 × 10−11、および7.3%、P = 7.5 × 10−18)。空腹時血糖値の平均および被験者間分散を大きくするバリアントの場合にはT2D発症リスクが上昇する傾向があったが、平均は大きくなるが分散は小さくなるバリアントにはこういった傾向は見られなかった(r2 = 0.61)。被験者間の分散を増大させるバリアントでは、空腹時血糖値についての遺伝率の推定値が大きくなった。今回の結果は、血糖値の平均および分散の増大は、分散の減少による平均オフセットの増大に比べて、病的な高血糖を引き起こす可能性がより高いことを明確に示すものであった。