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統合失調症:統合失調症のありふれた対立遺伝子は、変異不耐性遺伝子および強い選択下にある領域に集中している
Nature Genetics 50, 3 doi: 10.1038/s41588-018-0059-2
統合失調症は消耗性の精神疾患であり、生活の質が低下し、平均余命が短くなることが多い。その治療転帰の改善が進んでいない理由として、大規模なゲノム研究による知見が報告されるようになってきてはいるものの、疾患の生物学的基盤に関する知識が依然として不十分であることが挙げられる。本論文では、統合失調症に関する新しいゲノムワイド関連解析(症例1万1260人、対照2万4542人)を報告する。既存のデータを含めたメタ解析により、50の新規座位を含む合計145の関連座位が同定された。ゲノムの詳細なマッピングを、脳における発現解析および染色体構造解析のデータと統合することにより、33の座位に原因遺伝子候補を見いだした。我々はまた、ありふれたバリアントに関連するシグナルが、強い選択圧の下にある遺伝子群に高度に集中していることを初めて示す。これらの結果は、統合失調症の生物学的・遺伝学的基盤に関する新たな知見を提供するとともに、機能を喪失しやすい変異不耐性遺伝子の重要性を強調し、ありふれたリスクバリアントが集団に維持される機構を示唆するものである。