Analysis

RNA品質管理:ナンセンス変異依存mRNA分解が遺伝的疾患、遺伝子編集、がん免疫療法に及ぼす影響

Nature Genetics 51, 11 doi: 10.1038/s41588-019-0517-5

未成熟終止コドン(PTC)は、短縮型タンパク質の産生、あるいはナンセンス変異依存mRNA分解(NMD)によるmRNAの分解を引き起こすことができる。NMDの関与は一連の規則に依存しているが、このどちらの結果が起こるかによって変異の影響が変化する可能性がある。本論文では、NMDの規則をゲノムワイドに適用することにより、NMDetectiveという情報が得られることを報告するとともに、NMDが遺伝的疾患や治療手法に及ぼす影響を調べた。第一に、NMDが一般的にPTCの影響を増悪するか軽減するかは、ヒトの遺伝的疾患によって異なっていた。第二に、NMDを引き起こせないことは、CRISPR–Cas9遺伝子編集による遺伝子不活化の効果が見られない原因であった。最後に、NMDはがん免疫療法の有効性を決定し、NMDを回避するフレームシフト転写産物のみが奏功を示すと予測された。これらの結果から、NMDの規則を臨床的意思決定に組み込むことの重要性が実証された。さらに、NMDの阻害が、がん免疫療法の向上に有効である可能性が示唆された。

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