Analysis

B細胞:ヒトがんにおけるB細胞免疫と関連する免疫回避の全体像

Nature Genetics 51, 3 doi: 10.1038/s41588-018-0339-x

腫瘍に浸潤するB細胞は、微小環境の重要な構成要素であるが、抗腫瘍効果については明らかになっていない。本論文では、我々が開発したコンピューターアルゴリズムであるTRUSTを改良して、大量の腫瘍RNA塩基配列決定データからB細胞の免疫グロブリンの超可変領域を抽出した。TRUSTを用いて、がんゲノムアトラスのB細胞の重鎖(IgH)の相補性決定領域3(CDR3)の3000万以上の塩基配列のアセンブリーを行った。さまざまなヒトがんにおいて、B細胞クローンの広範な拡大と免疫グロブリンのサブクラススイッチ事象が観察された。B細胞活性が上昇した腫瘍においては、抗体依存性細胞介在性細胞傷害(ADCC)に関係するMICAおよびMICBの遺伝子に、一般的な体細胞性コピー数変化があることが明らかになった。IgG3からIgG1へのサブクラススイッチは、B細胞受容体の親和性の成熟やADCC経路の異常に関係があった。腫瘍に浸潤するB細胞受容体レパートリーの包括的な全がん解析を行ったところ、遺伝的変化を介した腫瘍の新しい免疫回避機構が突き止められた。今回特定されたIgH塩基配列は、今後の免疫療法開発のための有益な情報源になる可能性がある。

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