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劣性遺伝性疾患:劣性遺伝性繊毛病における副次的なバリアントの遺伝的な役割と生物学的モジュール全体にわたる非ランダムな分布の証拠
Nature Genetics 52, 11 doi: 10.1038/s41588-020-0707-1
ドライバー変異に及ぼす遺伝的背景の影響はよく認められているが、その遺伝的背景がメンデル遺伝座位と相互作用する機序については分かっていない。本論文では、バルデー・ビードル症候群(BBS)の2つの独立した患者コホートにおいて、副次的なバリアントの量を調べる解析を体系的に行った。各患者は、17のBBS遺伝子の1つに既知の劣性(潜性)遺伝性の両対立遺伝子性病原性変異を持つ。BBS患者は、対照集団、あるいはBBSではないと診断されているが同一の遺伝子セットに劣性遺伝性バリアントを有する人からなるコホートのどちらと比較した場合にも、トランスに作用するまれな非同義副次的バリアントが有意に豊富に存在することが観察された。特に、シャペロニンをコードする遺伝子群において、副次的な対立遺伝子が有意に大きな比率を占めていることが分かり、この知見は、in vivoでシャペロニン複合体が関与するエピスタシス相互作用が観察されたことによって支持された。これらのデータは、BBSの複雑な遺伝的構造を示しており、疾患モジュールの生物学的特性についての情報を提供し、また、劣性遺伝性疾患における副次的なバリアントの役割を解析するためのモデルとなる。