Technical Report

家族歴:症例対照状態と疾患の家族歴の易罹病性閾値モデル化が関連の検出力を向上させる

Nature Genetics 52, 5 doi: 10.1038/s41588-020-0613-6

症例対照関連研究において疾患の家族歴は貴重な情報を提供してくれるが、症例対照解析と家族歴をどのように組み合わせるのが最善なのかは、今のところよく分かっていない。我々は、症例対照の状況と家族歴を考慮に入れた、易罹病性閾値モデルの下での事後平均遺伝的易罹病性に基づく関連検出手法(LT-FH)を開発した。英国バイオバンクのデータを用いて12の疾患を解析し(平均N = 350,000)、LT-FHを、家族歴を考慮しないGWAS、および代理症例として家族歴を考慮に入れた先行手法であるGWAXと比較した。全疾患に関してゲノム規模で有意な関連を有する独立した座位の総数で評価すると、GWASと比較してLT-FHは検出力が63%〔標準誤差(s.e.)6%〕高く(例えば、GWASの423座位に対して、LT-FHでは690座位)、また、疾患ごとにGWASまたはGWAXの良い方を選択して比較した場合でも、LT-FHの検出力が36%(s.e. 4%)高かった。GWAS、GWAX、およびLT-FHの表現型にBOLT-LMMを適用した場合の検出力改善の度合いは同等であった。このように、疾患の家族歴情報が手に入る場合、LT-FHは関連の検出力を大きく向上させることが分かる。

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