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トランスクリプトミクス:N6-メチルアデノシンはヒストンH3K9me2の脱メチル化を共転写的に指示する

Nature Genetics 52, 9 doi: 10.1038/s41588-020-0677-3

エピゲノムの動態は、発生や健康にとって適切な遺伝子発現を達成する上で非常に重要である。エピゲノム動態の基礎となるのは、転写の複雑な過程であり、これは、クロマチンの変化や転写装置、メッセンジャーRNAに対する修飾〔共転写的に組み込まれるN6-メチルアデノシン(m6A)など〕を、細胞シグナル伝達と統合する過程であると言える。しかし、これらの動的エピゲノムの特徴を統合する詳細な機構については、よく分かっていなかった。今回我々は、抑制的ヒストン標識であるH3K9me2が、m6A修飾された転写産物の誘導によって特異的に除去されることを示す。このH3K9me2修飾は、メチルトランスフェラーゼMETTL3/METTL14により調節されることが明らかになった。さらに、H3K9me2デメチラーゼKDM3Bによる占有とm6Aがゲノム規模で相関することが観察された。また、m6A読み取り因子のYTHDC1がKDM3Bと物理的に相互作用して、KDM3Bをm6A関連クロマチン領域に誘導し、H3K9me2脱メチル化と遺伝子発現を促進することを見いだした。この研究は、m6Aと動的なクロマチン修飾の間の直接的な結び付きを明らかにし、RNA修飾とヒストン修飾の間の共転写的な相互作用の機序に関する洞察をもたらすものである。

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