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タンパク質間相互作用:疾患の変異によってかく乱されるタンパク質間相互作用の包括的な特徴付け
Nature Genetics 53, 3 doi: 10.1038/s41588-020-00774-y
ゲノミクスやインタラクトミクスの技術的進歩と計算的進歩により、疾患の変異が、ヒト細胞内でのタンパク質間相互作用(PPI)ネットワークをどのようにかく乱するかを明らかにすることが可能になっている。今回我々は、疾患に関連する生殖細胞系列バリアントが、1000ゲノムプロジェクトとExACプロジェクトの健康な参加者で見つかったバリアントと比較して、PPI界面をコードする配列で有意に多く見られることを示す。1万861の腫瘍エキソームでは、体細胞ミスセンス変異も、PPI非界面よりもPPI界面で有意に多く見られた。我々は、全がん解析により、470の推定腫瘍PPI(oncoPPI)を計算的に特定し、oncoPPIが患者の生存や薬剤抵抗性/感受性と高度に相関していることを実証した。我々は、2つのタンパク質間の相互作用を系統的に調べる手法を用いて、13のoncoPPIのネットワーク効果を実験的に検証し、これらのうちの2つが腫瘍細胞の増殖に及ぼす機能的影響についても実証した。まとめると、このヒトインタラクトームネットワークの枠組みは、PPIをかく乱する変異を持つ対立遺伝子に優先順位付けを行うことで、病理生物学的機構や遺伝子型に基づく治療効果を発見するための情報を得る上での強力なツールになる。