Technical Report
クロマチン動態:ArchRは統合的な単一細胞クロマチン接近可能性解析のためのスケーラブルなソフトウェアパッケージである
Nature Genetics 53, 3 doi: 10.1038/s41588-021-00790-6
単一細胞クロマチン接近可能性プロファイリングの登場により、遺伝子調節の状況をマッピングする能力が加速してきたが、これらのデータから生物学的な意味を迅速に抽出するためのスケーラブルなソフトウエアの開発は後れを取っている。今回我々は、単一細胞クロマチン接近可能性データの高速で総合的な解析を可能にする、R言語で記述した調節性クロマチンの単一細胞解析のためのソフトウエアスイート(ArchR:Analysis of Regulatory Chromatin in R、https://www.archrproject.com/)を紹介する。ArchRは、複雑な単一細胞解析のための直感的でユーザー中心のインターフェイスを提供しており、2つの細胞を含むダブレットの除去、単一細胞クラスタリングと細胞タイプの特定、一元的なピークセットの生成、細胞軌跡の特定、DNA配列と遺伝子の結び付き、転写因子フットプリンティング、クロマチン接近可能性に基づくmRNA発現レベル予測、マルチオミクスと単一細胞RNA塩基配列決定(scRNA-seq)の統合を行うことができる。ArchRは、標準的なUnixラップトップ上で8時間以内に120万個以上の単一細胞の解析が可能であり、単一細胞クロマチン接近可能性のエンドツーエンド解析のための包括的なソフトウエアスイートとして、個々の細胞の分解能における遺伝子調節の理解を加速させるだろう。