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希少疾患:集団規模のトランスクリプトミクス的手法を用いて多能性細胞における希少な調節バリアントおよびありふれた調節バリアントを特定する
Nature Genetics 53, 3 doi: 10.1038/s41588-021-00800-7
誘導多能性幹細胞(iPSC)は、分化後のさまざまな細胞種や発生段階において、遺伝的バリアントの影響を研究するための細胞系として確立されている。しかし、iPSCが多能性を保持したままの状態における、疾患の遺伝的バリアントがもたらす影響についてはよく分かっていない。本研究で、我々は、ヒトiPSC 1367株のデータを統合し、ヒトの多能性細胞における希少な調節バリアントおよびありふれた調節バリアントの包括的なマッピングを実施した。我々は、この集団規模のデータを用いて、ヒト形質関連座位との間にiPSCに特異的な数百の新規な共局在イベントを特定した。さらに、我々はこの方法によって、体細胞組織を用いた場合と比較して、希少な調節バリアントの検出力が向上することを見いだした。我々はまた、iPSCを用いることでいかに希少疾患の原因遺伝子の特定が可能になるかを実証した。