Article

マイクロバイオーム:メンデルランダム化解析から血中代謝物と腸のマイクロバイオームとの間の因果関係が裏付けられる

Nature Genetics 54, 1 doi: 10.1038/s41588-021-00968-y

腸のマイクロバイオームはさまざまな生理学的状態に関係しているが、因果関係については議論がある。本論文では、全ゲノム、全メタゲノム、身体計測、血液の代謝形質についてのデータが得られている3432人の中国人において、双方向メンデルランダム化解析を行った。その結果、腸のマイクロバイオームと血中代謝物の間に見られる58の因果関係が明らかになり、そのうち43は再現性が確認された。糞便中のOscillibacter属とAlistipes属の相対量の増加は、トリグリセリド濃度の低下と因果関係があった。逆に、グルタミン酸などの血中代謝物は糞便中のOxalobacter属を減少させるように見えた。また、プロテオバクテリア門(Proteobacteria)の細菌は、5-メチルテトラヒドロ葉酸、アラニン、グルタミン酸、セレンなどの代謝物の影響を受けた。バイオバンク・ジャパンのデータを用いて2標本メンデルランダム化解析を行うと、トリグリセリドや尿酸の結果が部分的に裏付けられ、また、がんおよび心血管疾患に関する公表された糞便細菌マーカーの因果関係も裏付けられた。この研究は、ヒトの遺伝情報の価値を示していて、機構の研究や臨床的な研究のために腸の微生物の特徴に優先順位を付けるのに役立つものである。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度