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トウモロコシ:ゲノムの塩基配列決定により明らかになったトウモロコシ属の適応的多様性の証拠

Nature Genetics 54, 11 doi: 10.1038/s41588-022-01184-y

トウモロコシは世界的に有用性の高い農産物であり、最もよく研究されている遺伝学的モデル生物である。しかしながら、トウモロコシの野生近縁種にどれほどの遺伝的多様性があるか、またその遺伝的多様性にどれほどの有用性があるかについては驚くほどわずかしか分かっていない。本研究では、我々がトウモロコシとトウモロコシ属に属する全野生種を包含する744ゲノムから作製した、7000万以上の一塩基多型を記載した高密度のゲノム多様性マップについて、その特徴を説明する。このゲノム多様性マップから、トウモロコシ属内で起こった選択の証拠が得られ、またこれまで知られていなかった複数の適応が明らかになった。本研究では、高地テオシントと温帯トウモロコシの適応的な対立遺伝子に注目し、これらの適応において、特に開花期に関連する経路が重要な役割を果たしたことを示す。また高地テオシントと温帯トウモロコシの適応についてのデータに含まれるバリアントの有用性を示すため、開花期に関与すると考えられる2つの候補遺伝子の変異型対立遺伝子を作製した。本研究は、トウモロコシ属の遺伝的多様性を反映した広範な試料を提供し、それにより進化についての疑問を解決するとともに、現代の品種改良に直接利用できる適応的なバリアントの検出を可能にするものである。

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