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肝疾患:非アルコール性脂肪肝疾患のマルチオミクス研究
Nature Genetics 54, 11 doi: 10.1038/s41588-022-01199-5
非アルコール性脂肪肝(NAFL)とその続発症による健康問題は増え続けている。今回我々は、NAFL、肝硬変、肝細胞がんのゲノムワイド関連解析を行い、その結果を発現データやプロテオミクスデータと統合した。NAFLについては、9491件の臨床症例と3万6116の肝臓磁気共鳴画像から抽出したプロトン密度脂肪率を利用した。その結果、NAFLに関連した18の配列バリアントと、肝硬変に関連した4つの配列バリアントが明らかになり、機能喪失型と考えられる防御的な希少バリアントをMTARC1とGPAMに見つけ、それらが薬剤標的となり得ることを示した。我々はまた、メッセンジャーRNAの発現、スプライシング、予測されるコード配列への影響を用いて16の推定原因遺伝子を特定し、それらの多くは脂質代謝に関与していることが分かった。アイスランド人3万5559名における4907の血漿タンパク質レベルと、英国バイオバンク参加者4万7151名における1459のタンパク質の解析からは、疾患原因となる複数のタンパク質が見つかった。また、プロテオミクスによってNAFLと肝硬変を区別できることも示す。この研究は、NAFLの非侵襲的評価や新たな治療選択肢を開発するための知見となる。