Perspective

メンデルからゲノム時代の量的遺伝学へ ─ W.G.ヒルの科学的遺産

Nature Genetics 54, 7 doi: 10.1038/s41588-022-01103-1

英国王立協会が授与するダーウィンメダルの2018年の受賞者であり、英国の遺伝学会が授与するメンデルメダルの2019年の受賞者でもある量的遺伝学者W. G. ヒル(愛称ビル・ヒル)が、2021年12月17日、81歳で逝去された。ここで我々は、彼の集団および進化遺伝学、動植物育種学、人類遺伝学にまたがる数々の重要な科学的貢献に対し、敬意を表する。本論文ではヒルが行った理論的研究、すなわち選択に対する反応としての連鎖不平衡(LD)と突然変異分散の役割、ゲノム関連研究において広く用いられている連鎖不平衡係数r2の起源、複雑形質の遺伝的構造、家系図が与えられたときの実際の遺伝的関係の変動量の定量化、その他数々の彼の業績について論じる。それにより我々は、彼の量的遺伝学、統計遺伝学における基本理論の研究が、複雑形質の遺伝学および進化についての深い洞察をもたらし、後に(しばしば数十年も後に)経験的に検証されることになる予測がなされたことを示す。

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