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自閉スペクトラム症:自閉症における表現型の不均一性との遺伝的相関

Nature Genetics 54, 9 doi: 10.1038/s41588-022-01072-5

自閉症には表現型に大きな不均一性があるため、その遺伝的病因の理解が制限を受ける。この隔たりに対処するために、本論文では自閉症の人(nmax = 12,893)の間の遺伝的差異を、自閉症のコアの核となる特徴および関連する特徴、合併する発達障害、性別に基づいて調べた。自閉症の人において自閉症の核となる特徴についての包括的な因子分析を行い、6つの因子を特定した。ありふれた遺伝的バリアントはこれらのコア因子と関連があったが、de novoバリアントは関連がなかった。自閉症の人では、自閉症の多遺伝子スコア(PGS)が高いことは、発達障害を合併する尤度が低いことと関連していることが分かった。さらに、知的障害(ID)を合併していない自閉症の人では、自閉症のPGSは、男性よりも女性により多く受け継がれた。また、自閉症のSNP遺伝率は男性で高いこと、また、IDを合併していない自閉症の人の方で高いことが観察された。自閉症の基盤となる複雑な遺伝学的性質が、認知、行動、合併症を形作る仕組みを決定する際には、より詳細な表現型の特徴付けが重要だろう。

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