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iPS細胞:ヒト誘導多能性幹細胞では体細胞ゲノムの多様性とBCOR変異の選択がかなり多く見られる

Nature Genetics 54, 9 doi: 10.1038/s41588-022-01147-3

さまざまな組織に由来するヒト誘導多能性幹細胞(hiPSC)を、ゲノムの完全性についての手掛かりを得るために、1塩基の分解能で調べた。696のhiPSCと娘サブクローンを含む、2つの大規模なhiPSCリポジトリのゲノム塩基配列決定データを用いて解析を行った。その結果、皮膚繊維芽細胞由来のhiPSC(F-hiPSC)では、約72%に紫外線(UV)に関連する損傷が見られ、かなりの変異誘発(メガベース当たり最大15変異)に結び付くことがあった。同じ1回の再プログラム化実験で得られた、別個のF-hiPSCクローン間には顕著なゲノム不均一性があること、これはオリゴクローナルな繊維芽細胞集団から得られたためであることを実証した。対照的に、血液由来のhiPSC(B-hiPSC)はより変異が少なく、UVによる損傷は見られなかったが、後天的なBCOR変異の保有率が高かった(細胞株の26.9%)。F-hiPSCおよびB-hiPSCにおけるBCOR変異に強力な選択圧があることが明らかになり、それらの変異がin vitroで生じたという証拠が得られた。hiPSCの指向性分化とRNA塩基配列決定から、BCOR変異が機能的な結果をもたらすことが分かった。我々の研究は、hiPSCを使用する前には、1塩基の分解能での詳細な特徴付けが不可欠であることを強く示唆している。

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