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スプライシング:複雑形質のバリアントにおけるRNAスプライシングの遺伝的制御とその独自の役割
Nature Genetics 54, 9 doi: 10.1038/s41588-022-01154-4
ヒトのゲノムワイド関連解析(GWAS)から見つかった遺伝的バリアントのほとんどは非コード配列であり、これはこれらのバリアントが遺伝子を調節する役割を担っていることを示唆している。これまでの研究で、GWASシグナルと発現量的形質座位(eQTL)のつながりがかなり見つかっているが、スプライシング量的形質座位(sQTL)などの他の遺伝的調節機構との結び付きはあまり調べられていない。本論文では、競合する手法よりも優れた能力を備えたsQTLマッピング手法であるTHISTLE(testing for heterogeneity between isoform-eQTL effects)を紹介する。我々は、THISTLEを補完的なsQTLマッピング戦略と併せて、脳のトランスクリプトームデータ(n = 2865)と遺伝子型データに適用し、シスsQTLを伴う1万2794個の遺伝子を見いだした(P < 5 × 10−8)。そのうち約61%はeQTLとは異なるものだった。12の脳関連の複雑形質(疾患も含む)に対してsQTLデータをGWASに統合し、シスsQTLを介して形質と関連する244の遺伝子を特定し、そのうちの約61%は対応するeQTLデータからは見つからないものだった。我々の研究は、ほとんどのsQTLが、転写の遺伝子調節や複雑形質のバリアントにおいて独自の役割を持つことを示している。