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予防医学:身体活動と座位行動のゲノムワイド関連解析から、それらの疾患予防の基礎となる機構や役割についての手掛かりが示される

Nature Genetics 54, 9 doi: 10.1038/s41588-022-01165-1

身体活動や座位行動はどちらかといえば遺伝的に受け継がれるが、これらの形質に影響を及ぼす機構についてはほとんど分かっていない。51の研究から得られた最大70万3901人のデータを組み合わせて、複数祖先系のゲノムワイド関連解析のメタ解析を行った結果、自己申告による余暇時間中の中程度から強強度の身体活動(MVPA)、余暇に画面を見ている時間(LST)および/あるいは仕事中の座位行動と関連する99座位が得られた。LSTに関連する座位には、ウエイトトレーニングによって骨格筋での発現が変化する遺伝子の割合が高かった。ACTN3の1つのミスセンスバリアントは、αアクチニン3フィラメントに柔軟性を与え、その結果、単離されたIIA型筋繊維の最大筋力が低下し、運動による筋損傷を防ぐ可能性が示された。さらにメンデル無作為化解析から、LSTの減少およびMVPAの上昇がいくつかのリスク要因や疾患に有益な影響を及ぼすが、これはボディーマス指数(BMI)の介在あるいは交絡があることが分かった。我々の結果から、疾患の予防における身体活動の機構やその役割についての手掛かりが示された。

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