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がん:ヨーロッパ系および東アジア系の症例10万204人と対照15万4587人についてのマルチオミクス解析による大腸がんの遺伝学的性質の解読
Nature Genetics 55, 1 doi: 10.1038/s41588-022-01222-9
大腸がん(CRC)は世界的に死亡の主な原因である。本論文では、ヨーロッパ系および東アジア系のCRC症例10万204人と対照15万4587人についてゲノムワイド関連解析のメタ解析を行い、独立したリスクとの関連205を見いだした。そのうちの50の関連はこれまでに報告されていないものである。我々はさらに、大腸粘膜や他の組織において、ゲノム、トランスクリプトーム、メチロームについての統合解析を行った。トランスクリプトーム規模およびメチローム規模の関連解析から、さらに53のリスクとの関連が見つかった。また、CRCリスクと機能的に結び付けられる信頼度の高い155のエフェクター遺伝子を特定し、その多くはこれまでにCRCにおける確固たる役割は明らかにされていないものであった。これらの遺伝子には複数の機能があり、具体的には、大腸の正常な恒常性、増殖、細胞接着、移動、免疫、微生物相互作用における差異がCRCリスクを決定することが示された。組織横断的な解析から、エフェクター遺伝子の3分の1以上がまず間違いなく大腸粘膜外で作用することが示された。我々の発見は、大腸がんの発がんについての知見をもたらし、新しいCRC治療や化学的予防戦略のための、多様な組織における有望な標的を明らかにしている。