Technical Report

多遺伝子リスクスコアの使用による単一祖先系および複数祖先系集団でのゲノムワイド関連解析の検出力向上

Nature Genetics 55, 10 doi: 10.1038/s41588-023-01500-0

ゲノムワイド関連解析(GWAS)は、その多くがヨーロッパ系の集団において実施されてきたため、得られた結果を他の祖先系集団に直接適用できないのが現状である。ここでは、多遺伝子スコア(PGS)を使用してGWASの結果を調整することで、ヨーロッパ系以外の集団における遺伝的関連の統計的検出力が向上することを、理論、シミュレーション、実データでの検証を通じて示す。東アジア系の参加者を登録している3つの大規模バイオバンク(合計n = 34万)で利用可能な7つの形質の解析にこの方法を用いることで、139の新規関連座位が検出された。また、2段階メタ解析戦略も提示する。この方法では、解析を行うコホートにおいて、第1段階の標準的なメタ解析から得られたPGSを使用して、PGS調整GWASを再実行する。この手法により、検出された関連座位の数が形質全体の平均で1.26倍(範囲は1.07~1.76倍)増加した。まとめると本研究では、研究が十分に行われていない集団におけるGWASの検出力を向上させるために、PGSを使用することの有効性を実証した。今後のGWASメタ解析では、そのような解析戦略を採用することが奨励される。

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