Technical Report

多遺伝子リスクスコア:複数祖先系の多遺伝子予測のための新たな手法によって、さまざまな集団におけるその性能が向上

Nature Genetics 55, 10 doi: 10.1038/s41588-023-01501-z

多遺伝子リスクスコア(PRS)による複雑形質の予測が増えてきている。しかし、非ヨーロッパ系集団での性能は最適には至らないため、臨床応用や健康の不平等に関する懸念を生じさせている。本論文では、PRSを計算するための高性能かつスケーラブルな方法であるCT-SLEBを開発したので報告する。この手法は、複数祖先系集団からなる訓練試料の祖先系特異的なゲノムワイド関連解析の要約統計量を用いて、クランピングと閾値(CT)法、経験ベイズ(EB)法、スーパーラーニング(SL)を統合したものである。我々は、CT-SLEBと他の9つの方法の評価を、大規模なシミュレーションによるゲノムワイド関連解析(約1900万のありふれたバリアント)、および23andMe社、GLGC(Global Lipids Genetics Consortium)、AoU(All of Us)、英国バイオバンクからのデータセット(さまざまな祖先系からなる510万人〔非ヨーロッパ系4集団の118万人を含む〕を対象にした13の複雑形質についてのデータ)を用いて行った。その結果、CT-SLEBは他の単純な手法に比べて、非ヨーロッパ系集団におけるPRSの性能が大幅に改善され、最近の計算集約的方法と同等またはそれ以上に優れた性能であることが示された。また、我々のシミュレーション研究から、サンプルサイズの要件とSNP密度が複数祖先系集団のリスク予測に及ぼす影響についての知見がもたらされた。

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