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心血管疾患:複数祖先系集団のゲノムワイド解析による冠動脈石灰化のエフェクター遺伝子およびドラッガブルな標的経路の特定

Nature Genetics 55, 10 doi: 10.1038/s41588-023-01518-4

冠動脈石灰化(CAC)は潜在性動脈硬化の評価指標であり、将来の症候性冠動脈疾患(CAD)の発症を予測する。CACの遺伝的リスク因子の特定は、新たな予防戦略を示唆し得る。現在のところ、一般集団におけるゲノムワイド関連解析(GWAS)で特定されたCACのリスク座位は、4つしか知られていない。本研究では、ヨーロッパ系の2万6909人とアフリカ系の8867人を対象とした、CACに関するこれまでで最大規模の複数祖先系集団GWASメタ解析を実施した。11の独立したリスク座位が特定され、そのうち8つはCACの新規関連座位であり、5つはCACでは報告されていない座位であった。これらの新規CAC座位は、骨石灰化、リン酸異化、ホルモン代謝経路に関連している。新規座位のいくつかは、複数の機能的証拠によって支持される原因遺伝子候補を含んでおり、これらは平滑筋細胞を介した石灰化の制御因子であることがex vivoおよびin vitroで示された。本研究で得られた知見は、CACの遺伝的構造を精密化し、その基盤にある生物学的経路およびドラッガブルとなり得る標的経路についての理解を深めるのに役立つ。

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