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骨折:前腕骨折の遺伝的決定要因のアトラス
Nature Genetics 55, 11 doi: 10.1038/s41588-023-01527-3
骨粗鬆症性骨折は、最も一般的で、費用のかかる疾患の1つである。これは、当然のことながら遺伝性があるものの、その遺伝的決定因子は明らかになっていない。前腕骨折は、臨床的に最も一般的に認識されている骨粗鬆症性骨折であり、比較的高い遺伝率を持つ。本論文では、前腕骨折の遺伝的決定因子のアトラスを構築するために、前腕骨折10万26を含む症例を用いてゲノムワイド関連解析を行った。その結果、前腕骨折に関連する43座位が明らかになり、そのうちの26座位は新規であった。骨折に関連する座位のほとんどは骨密度と関連していたが、骨質のパラメーターを主に調節する座位との関連も見つかった。このような座位の1つであるTAC4の機能解析から、Tac4−/−マウスでは機械的骨強度が低下していることが明らかになった。また、最も強い前腕骨折シグナルはWNT16に見つかったが、顕著な骨部位特異性を示し、腰部骨折とは関連しなかった。高身長と低いボディマス指数が、骨折の原因となる新たなリスク因子であることが明らかになった。このアトラスから得られる知見は、骨折予測を向上させる可能性があり、また、骨折を予防する治療法の開発を可能にし得る。