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片頭痛:効果量の大きなレアバリアントが前兆の有無を問わず片頭痛のサブタイプの病理に機能的知見をもたらす
Nature Genetics 55, 11 doi: 10.1038/s41588-023-01538-0
片頭痛は、さまざまな重症度と症状を呈する複雑な神経血管疾患であるが、ゲノムワイド関連解析(GWAS)では単一の表現型として扱われることがほとんどである。本研究では、ヨーロッパの6つの集団から得た大規模なGWASデータセットを統合し、片頭痛の主要なサブタイプである前兆のある片頭痛(MA)と前兆のない片頭痛(MO)を分けて検討した。新たに4つのMA関連バリアント(PRRT2、PALMD、ABO、LRRK2に位置する)が見つかり、13がMO関連バリアントと判定された。効果量の大きなレアバリアントは、3つの遺伝子に位置している。脳で発現しているPRRT2の希少なフレームシフトバリアントは、MAとてんかんのリスクを上昇させるが、MOには影響しない。ニューロンで発現し、痛みの感覚に重要な役割を果たすナトリウムチャネルをコードするSCN11Aは、その希少な機能喪失型バリアントの総和検定では、片頭痛に対する強い防御効果が示された。また、KCNK5のシス制御効果を有するレアバリアントは、片頭痛と脳動脈瘤に大きな防御効果を示した。これらの結果は、片頭痛とそのサブタイプの複雑な生物学に、治療薬の開発につながる可能性のある新たな知見を提供する。