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ネコ科:単一ハプロタイプの比較ゲノミクスからネコ科の進化における系統特異的な構造多様性についての知見が示される

Nature Genetics 55, 11 doi: 10.1038/s41588-023-01548-y

構造が動的に変化したゲノム領域が種分化にどのような役割を果たしてきたかは、二倍体ゲノムのアセンブリに固有の課題があるため、ほとんど解明されていない。本論文では、ネコ科の5種において、種間で掛け合わせた雑種3種類を作製し、そのF1世代のゲノムのフェージングを行い、ほぼギャップ(欠落部)のない単一ハプロタイプのアセンブリを生成し、構造多様性の進化動態を再構築した。ネコ科のゲノムは、大型類人猿に比べて、分節重複がほとんどないことが分かり、これが核型の顕著な安定性の説明となることが分かった。X染色体は構造多様性のホットスポットであり、例えば、組換えが起こりにくい大規模な領域に豊富に存在する逆位といった、超遺伝子の特徴などを示す。X連鎖マクロサテライトであるDXZ4は、ゲノムの99.5%の領域よりも迅速に進化しており、ネコ科動物の雑種不和合性における役割が明らかになった。感覚遺伝子レパートリーを解明することによって、生態形態学的適応、社会性、家畜化に関連する機能的コピー数変化が明らかになった。この研究は、核型進化、生殖隔離、生態的ニッチ適応を支える構造的な機構を明らかにする上で有用な、ギャップのないゲノムの価値を明らかにしている。

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