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うつ病:表現型の統合は大うつ病性障害のバイオバンクベースの遺伝学研究における検出力向上と特異性保持を可能にする

Nature Genetics 55, 12 doi: 10.1038/s41588-023-01559-9

バイオバンクには、大うつ病性障害(MDD)などの疾患に関連性を持つ複数の表現型が含まれることも多いが、これらの遺伝的構造には多少の違いがある。研究者は、表現型の浅さ(サンプルサイズが大きく、特異性と感受性が低い)と深さ(サンプルサイズは小さく、特異性と感受性が高い)の間で複雑なトレードオフに直面することになり、しかも最適な選択が不明であることはよくある。今回我々は、これらの表現型を統合し、浅い表現型と深い表現型の利点を組み合わせることを提案する。表現型インピュテーションを用いることで、何百ものMDD関連表現型にわたる情報を統合し、英国バイオバンク(LifetimeMDD)で利用可能な最高深度のMDD表現型について、ゲノムワイド関連解析(GWAS)の検出力と多遺伝子リスクスコア(PRS)の予測精度を有意に増大させた。我々は、新たなPRSベースの多面効果評価基準を用いて、インピュテーションがその遺伝学的構造内の特異性を保持していることを実証する。さらに、要約統計量による統合は、GWASの検出力やPRSの予測を向上させる一方で、入力に応じて非特異的な遺伝学的影響を取り込む可能性もあることが分かった。我々の研究は、浅い表現型と深い表現型を統合することにより、大規模バイオバンクでの遺伝学研究を向上させる、簡便でスケーラブルな手法を提示している。

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