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神経発達障害:ADHDのゲノム規模の解析から、27のリスク座位が見つかり、遺伝的構造が詳細に明らかになって、いくつかの認知領域の関与が示された
Nature Genetics 55, 2 doi: 10.1038/s41588-022-01285-8
注意欠如・多動性障害(ADHD)は、よく見られる神経発達障害で、遺伝的要因の関与が大きい。本論文では、ADHDの3万8691人と対照18万6843人からなるADHDのゲノムワイド関連解析のメタ解析について示す。ゲノムワイドな有意水準でADHDに関連する27座位を見つけるとともに、76の候補リスク遺伝子が、特に、脳発生の初期に発現する遺伝子群に豊富に見られることを明らかにした。全体として、ADHDの遺伝的リスクは、脳特異的ないくつかのニューロンサブタイプや中脳ドーパミン作動性ニューロンと関連していた。1万7896人のエキソーム塩基配列決定データから、おそらく原因と考えられるありふれたバリアントを豊富に含む一連のリスク遺伝子において、タンパク質短縮を引き起こすまれなバリアントの負荷がADHDで増加していることが分かり、ADHDにはSORCS3のありふれたバリアントとまれなバリアントの両方が関与している可能性が示唆された。二変量のガウス混合モデル化から、ADHDに影響を及ぼすバリアントの84~98%が他の精神疾患と共通であるという推定が得られた。さらに、ありふれたバリアントによるADHDリスクは、言語的推論や、注意をはじめとするさまざまな実行機能などの複雑な認知機能の障害と関連していた。