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3Dゲノミクス:エンハンサーとプロモーター間の相互作用はCTCFによる境界を迂回でき、表現型のロバスト性に関与する

Nature Genetics 55, 2 doi: 10.1038/s41588-022-01295-6

エンハンサーが遠位の標的プロモーターを活性化する仕組みについては、まだ完全には明らかになっていない。今回我々は、CTCFを介したループが、そのような調節性相互作用をどのように促進したり制限したりしているのかを解析した。一連の対立遺伝子を含んだマウス変異体を用いて調べた結果、Sox2遺伝子と遠位エンハンサーとの相互作用やSox2の発現にとって、CTCFは必須ではないことが明らかになった。Sox2とその遠位エンハンサーとの間に、CTCFモチーフをさまざまな組み合わせで挿入すると、転写出力の低下と直接相関するさまざまな強さのインスレーションを示す境界が生じた。ところが、胚盤葉上層と神経組織においてはいずれも、エンハンサーの接触と転写誘導は完全には失われず、CTCFモチーフの挿入による着床および神経発生の阻止には至らなかった。対照的に、最も強い境界が得られた変異体で調べた場合でも、前方前腸ではSox2の発現は検出されず、これらの動物の前方前腸はSOX2喪失表現型を完全に模倣した。調節活性を高密度に持つエンハンサークラスターが、物理的障壁をうまく乗り越え、正確な遺伝子発現と表現型ロバスト性を維持すると考える。

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