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非小細胞肺がん:進行した非小細胞肺がんにおけるチェックポイント阻害剤への応答のゲノムおよびトランスクリプトーム解析
Nature Genetics 55, 5 doi: 10.1038/s41588-023-01355-5
抗PD-1/PD-L1抗体薬は、進行非小細胞肺がん(NSCLC)の治療の状況を一変させた。本論文では、NSCLCでチェックポイント阻害剤への応答の基礎となる分子的特徴をさらに深く理解するために、SU2C-MARK(Stand Up To Cancer-Mark Foundation)コホートの抗PD-(L)1療法を受けたNSCLC患者393人に関して、全エキソーム塩基配列決定やRNA塩基配列決定で得られた情報資源に加えて、対応する臨床的応答性の注釈付け情報を合わせた統計学的解析を初めて行ったので報告する。その結果、次に示すように、分子的特徴と転帰の間に多数の関連が特定された。(1)転帰良好(ATMの変化など)、および不良(TERT増幅など)のゲノムサブグループ、(2)免疫プロテアソームの誘導性構成要素の発現と奏効との間の顕著な関連、(3)腫瘍固有サブタイプの「脱分化」サブタイプとチェックポイント阻害への応答増強の関連、などである。総合的に、このコホートでの解析結果は、免疫療法による転帰の基盤となる生物学的決定要因の複雑性を示しており、十分にキュレーションされた大規模ながん特異的コホートでの統合的解析における今後の発見を補強するものである。