Technical Report

単一二本鎖シークエンシング:CODEC法による単一二本鎖DNA塩基配列決定は高感度で変異を検出できる

Nature Genetics 55, 5 doi: 10.1038/s41588-023-01376-0

単一のDNA分子から変異を検出することは、多くの分野で極めて重要な意義があるが、課題が残されている。次世代塩基配列決定法(NGS)は驚異的な処理能力を持っているものの、二本鎖DNA分子(単一二本鎖〔single duplex〕)を直接塩基配列決定し、両方の鎖の同一座位に位置するバリアントが真の変異であるかどうかを識別することはできない。本稿では、NGSによる単一二本鎖の塩基配列決定を可能にするCODEC(Concatenating Original Duplex for Error Correction)法について報告する。CODEC法はNGSの1000倍の精度があり、従来の二本鎖DNA塩基配列決定法と比較して100分の1のリード数で解析可能である。39歳の被験者の精子をCODEC法により解析した結果、変異頻度は2.72 × 10−8であった。血液細胞の解析では、体細胞変異の数が年齢と共に増加することが示された。CODEC法では、次のような検出を可能にすることが分かった。まず、ゲノム規模の解析で単一二本鎖DNAのクローン性造血変異を検出した。また、腫瘍ゲノムおよび液体生検検体を用いて単一二本鎖DNAの変異を検出した。さらに、従来法と比較して、マイクロサテライト不安定性を10倍の感度で、また変異シグネチャーについても検出することが可能であった。特定の腫瘍の変異の検出では、従来法の100分の1のリード数でそれが達成できた。CODEC法は遺伝学的検査の精度を高め、NGSのエラーのために従来は検出しにくかった生物学的に重要な変異の検出を可能にする。

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