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緑内障:複数形質に関する大規模なゲノムワイド関連解析で数百の緑内障リスク座位が特定された

Nature Genetics 55, 7 doi: 10.1038/s41588-023-01428-5

緑内障は、不可逆的な失明をもたらす最もよく見られる原因であり、遺伝性の高いヒト疾患である。これまでのゲノムワイド関連解析によって、最も一般的な種類の緑内障である原発開放隅角緑内障に関して、100以上の関連座位が見つかっている。また、2つの主要な緑内障関連形質である眼圧と視神経乳頭陥凹の異常(垂直Cup/Disc比として定量化される)も高い遺伝性を示す。しかし、緑内障の遺伝性の多くはまだ説明がついていない。そこで本研究では、ヨーロッパ系参加者を対象に複数形質の大規模ゲノムワイド関連解析を行い、原発開放隅角緑内障とその2つの関連形質を組み合わせることで(全サンプルサイズは60万以上)、遺伝的な検出力を大幅に向上させた(263座位)。我々は、複数祖先系集団を対象とした手法を採用することでさらに検出力を高め、独立したリスク座位の数を312まで増やし、その大部分は、23andMe社の独立した大規模コホートで再現された(全サンプルサイズ280万以上。296座位が再現され〔P < 0.05〕、ボンフェローニ補正後は240座位が再現された)。我々は、マルチオミクスデータセットを用いて、多数の創薬可能な遺伝子の候補を見いだし、これらには視神経を介して神経保護作用を示すと考えられる標的が含まれていた。既存の薬剤はいずれも眼圧のみを標的としたものであるため、これは緑内障にとって大きな進展である。また、メンデル無作為化と遺伝的相関に基づく手法を用いて、多発性硬化症や全身性エリテマトーデスなどの免疫関連疾患を含む他の複雑形質に対する新規の関連を特定した。

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