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ミトコンドリア疾患:ミトコンドリアDNA疾患の一細胞マルチオミクス解析によりヒト免疫細胞における純化選択の動態が明らかになる

Nature Genetics 55, 7 doi: 10.1038/s41588-023-01433-8

ミトコンドリアDNA(mtDNA)の病因性変異は細胞の代謝を損ない、細胞の不均一性をもたらして疾患の原因となる。さまざまな変異が多様な臨床表現型に関連しており、器官や細胞のタイプに特異的なさまざまな代謝脆弱性があることが示唆されている。本論文では、mtDNAの大規模な単一欠失(SLSMD)表現型を示すさまざまな疾患の患者6人から得た一細胞レベルの試料を用いて、細胞状態の特徴と共に、mtDNA欠失を定量化するマルチオミクス手法を確立したので報告する。20万6663の細胞をプロファイリングすることで、病因性mtDNA欠失のヘテロプラスミーの動態が、in vivoのT細胞のさまざまな状態に対して起こる純化選択や多様な代謝脆弱性と一致することを明らかにし、これらの観察をin vitroで検証した。解析を造血系前駆細胞および赤血球系前駆細胞に拡張することにより、mtDNAの動態と細胞タイプ特異的な遺伝子調節の適応が明らかになり、ミトコンドリアゲノムの完全性が状況依存的に攪乱されることが実証された。総合的に我々は、細胞系譜に沿った個々の血液細胞および免疫細胞の病因性mtDNAヘテロプラスミーの動態を報告することで、ミトコンドリア遺伝学の基本的な特徴を明らかにするための一細胞マルチオミクス解析の検出力を実証している。

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