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血糖調節:47万6326人における随時血糖値のGWASから、糖尿病の病態生理、合併症、治療層別化についての知見が得られる

Nature Genetics 55, 9 doi: 10.1038/s41588-023-01462-3

空腹時血糖値および食後血糖値という従来の血糖の測定値についてのゲノムワイド関連解析(GWAS)では、「1日中」の血糖調節過程に及ぼすDNA多様性の影響を捉えることができない。本論文では、さまざまな祖先系の糖尿病ではない人(47万6326人)を対象にした、標準的ではない条件下での血糖値(随時血糖値〔RG〕)のGWASメタ解析から、関連座位の発見と革新的な病態生理学的観察が可能になったことを示す。我々は、性的二型性効果を持つ13シグナル、祖先系横断的な効果を持つ2シグナル、希少な頻度の7シグナルなど、150の異なるシグナルによって表される120のRG座位を見いだした。これらのうち、44座位は血糖関連形質として新規である。調節、グリコシル化、メタゲノムのアノテーションは、回腸組織や大腸組織との関係を示しており、血糖制御における消化管の役割が過小評価されていることを示している。2型糖尿病の治療標的であるグルカゴン様ペプチド1受容体(GLP1R)の低頻度コード領域バリアントについて、機能的な追跡調査と分子動力学シミュレーションを行ったところ、GLP-1Rアゴニスト療法の最適な選択をするには、個別化された遺伝的層別化が有益であることが明らかになった。また、メンデル無作為化から、血糖によって肺機能が調節されること、また肺機能不全が糖尿病の合併症であるという証拠も示された。我々の研究から、血糖調節の生物学的性質、糖尿病の合併症、治療階層化のための道筋についての新たな知見が示された。

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