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乳がん:エキソーム塩基配列決定による乳がん感受性遺伝子の同定と、乳がんリスクに対するコード領域バリアントの寄与の解析
Nature Genetics 55, 9 doi: 10.1038/s41588-023-01466-z
遺伝的連鎖解析と候補遺伝子研究により、いくつかの乳がん感受性遺伝子が同定されているが、乳がんに対するコード領域バリアントの全体的な寄与は不明である。希少なコード領域バリアントの役割をより包括的に評価するために、我々は、症例女性2万6368人と対照女性21万7673人を含む3つの大規模な全エキソーム塩基配列決定データセットに対してメタ解析を実施した。タンパク質短縮バリアントと希少なミスセンスバリアントの総和検定を、それぞれ1万5616遺伝子と1万8601遺伝子について行った。タンパク質短縮バリアントと乳がんのエキソーム規模で有意な関連(P < 2.5 × 10−6)は、以下の6つの遺伝子で検出された。5つの既知の感受性遺伝子ATM、BRCA1、BRCA2、CHEK2、PALB2と、それに加えてMAP3K1である。LZTR1、ATRIP、BARD1にもP < 1 × 10−4で関連が認められた。さらに、有害と予測される希少なミスセンスバリアントあるいはタンパク質短縮バリアントと乳がんの関連が、CDKN2Aにもエキソーム規模の有意性で検出された。既知の感受性遺伝子以外の遺伝子に位置するコード領域バリアントの全体的な寄与は小さいものと推定される。