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ジャガイモ疫病:ナス属植物テリミノイヌホオズキのゲノム情報を活用してジャガイモ疫病菌エフェクターを認識する新たな免疫受容体を発見
Nature Genetics 55, 9 doi: 10.1038/s41588-023-01486-9
ジャガイモSolanum tuberosumおよびトマトSolanum lycopersiconの作物生産は、病原性卵菌であるジャガイモ疫病菌Phytophthora infestansによる疫病によって甚大な損害を被る。テリミノイヌホオズキSolanum americanumはジャガイモやトマトの近縁種であり、世界中に広く分布し、大半のアクセッションが疫病抵抗性である。我々は、テリミノイヌホオズキの4アクセッションについて高品質の参照ゲノム配列を構築するとともに、52アクセッションをリシークエンスし、テリミノイヌホオズキの免疫受容体NLRの遺伝子を網羅するpan-NLRomeを定義した。また、52アクセッションのテリミノイヌホオズキにおける、315のジャガイモ疫病菌RXLRエフェクターに対する認識の多様性を調べた。これらゲノムデータと表現型データを用いて、ジャガイモ疫病菌の同族のRXLRエフェクターであるPITG_22825(AVRamr4)、PITG_02860、PITG_04373を認識する免疫受容体NLRをコードする3遺伝子Rpi-amr4、R02860、R04373をクローニングした。これらのゲノム資源と方法論は、ジャガイモを遺伝子工学により改良して耐久性のあるジャガイモ疫病抵抗性を付与するための助けとなり、他の作物の病気へも応用可能である。