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古代ゲノム:古代人DNAから同祖遺伝子由来の遺伝子断片を高精度で検出する

Nature Genetics 56, 1 doi: 10.1038/s41588-023-01582-w

2個人の間で共通する長いDNA断片(同祖〔identity-by-descent:IBD〕として知られる)が存在するということは、系統的なつながりが近いことを示している。我々は、隠れマルコフモデルおよびインピュテーションによる遺伝子型推定を用いて、古代人のDNA(aDNA)からIBD断片を同定する手法であるancIBDを開発した。aDNAデータの平均深度が全ゲノム塩基配列決定で0.25×より大きい、あるいは1240k一塩基多型データセットで1×より大きければ、ancIBDを用いて8 cMを超える長さのIBD断片を高精度に同定できることが実証された。4248人分の古代ユーラシア人データにancIBDを適用したところ、6親等までの親族が特定され、古代人の集団間に見られる系図上のつながりが同定された。特に、縄目文土器文化とヤムナヤ文化の集団間では、長いIBDが共有されていることが判明した。このことは、ポントス・カスピ海ステップのヤムナヤ牧畜民と、さまざまなヨーロッパ縄目文土器文化におけるステップ関連の祖先系統が、たった数百年の間に実質的な共通祖先を持つことを示している。このように、IBD断片の検出技術は、増大するaDNAデータを用いて、人の一生のような小規模のものから、文化史上の大規模イベントまでの知見を導き出す。

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