Technical Report

多遺伝子リスクスコア:BridgePRSは祖先系集団間で共有される遺伝的効果を利用して多遺伝子リスクスコアの移植性を高める

Nature Genetics 56, 1 doi: 10.1038/s41588-023-01583-9

本論文では、多遺伝子リスクスコア(PRS)の移植性を高めるために、祖先系集団間で共有される遺伝的効果を利用する、新しいベイズPRS法であるBridgePRSを紹介する。我々は、BridgePRSの評価を、シミュレーションおよび英国バイオバンクの実際のデータを用いた解析によって行った。実際のデータは、アフリカ系、南アジア系、東アジア系の人における19の形質に関するもので、その際、英国バイオバンクとバイオバンク・ジャパンのゲノムワイド関連解析の要約統計量を用いた。さらに、マウントサイナイ(米国ニューヨーク)BioMeバイオバンクのデータを用いて、外部コホートでの検証を行った。また、別の主要なPRS法であるPRS-CSxや、その他の2つのPRS法とBridgePRSの比較を行った。シミュレーションから、BridgePRSは、PRS-CSxと比べて、不確実性が高まるほど性能が高まること、つまり、形質の遺伝率が低く、多遺伝子性が高く、集団間の遺伝的多様性が大きいほど、あるいは、原因バリアントがデータに存在しない場合に、PRS-CSxより高い性能を示すことが示唆された。実際のデータでは、BioMeのアフリカ系試料での外部コホート予測において、BridgePRSは、PRS-CSxよりも平均R2が61%大きかった(P = 6 × 10−5)。BridgePRSは、非ヨーロッパ系の人におけるPRS解析のための、計算効率が高く、ユーザーフレンドリーで、かつ強力な手法である。

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