ファインマッピング:微小な効果をモデル化することでファインマッピングを改善する
Nature Genetics 56, 1 doi: 10.1038/s41588-023-01597-3
ファインマッピングは、表現型の原因となる遺伝的バリアントを特定することを目的として行われる。ベイズのファインマッピングアルゴリズム(例えば、SuSiE、FINEMAP、ABF、COJO-ABF)は広く用いられているが、リアルデータでは、モデル誤特定(model misspecification)がおそらく存在するため、事後確率の較正を評価することはいまだ困難で、真の原因バリアントが不明である。我々は、試料数を減らすダウンサンプリングによってファインマッピングの一致性を評価するための指標である再現失敗率(RFR:replication failure rate)を紹介する。SuSiE、FINEMAP、COJO-ABFのRFRは高いことが明らかになり、これらの出力はオーバーコンフィデンスである可能性が示された。シミュレーションから、非スパース性の遺伝的構造は誤較正につながり得るが、インピュテーションのノイズ、原因バリアントの不均一な分布、品質管理フィルターは、最小限の影響しか持たないことが明らかになった。さらに我々は、少数の大きな因果効果と同時に、微小な効果をモデル化するファインマッピング手法であるSuSiE-infおよびFINEMAP-infを提案する。我々の方法は、競合手法に対し較正、RFR、機能的エンリッチメントにおいて優位な性能を示し、競合再現率、計算効率において同等の性能を示すことが分かった。特に、我々の方法の事後効果量を用いると、SuSiEやFINEMAPよりも多遺伝子リスクスコアの精度が大幅に上昇する。我々の研究は、ヒトの遺伝学の基本的な目標である、複雑形質の原因バリアントの特定を改善する。