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炎症:クロマチンによって調節される二相性回路はIL-1βが仲介する炎症を調整する
Nature Genetics 56, 1 doi: 10.1038/s41588-023-01598-2
炎症は、二相性の周期を特徴としていて、最初の炎症促進期と、それに続く抗炎症過程による炎症解消期から構成される。インターロイキン1β(IL-1β)は、炎症促進のマスター調節因子であり、IL-37と同一のトポロジカルドメイン(TAD)内にコードされている。IL-37は、IL-1βの機能に対抗する抗炎症サイトカインである。本論文では、このTAD内で、AMANZIと呼ばれる長鎖ノンコーディングRNAが、IL-37の転写誘導を介して、IL-1β発現や訓練された免疫(trained immunity)を負に調節することを明らかにした。IL37の活性化は、長距離のクロマチン接触の動的な形成を介して起こり、これは抗炎症応答が一時的に遅れて起こることにつながることが分かった。この調節回路は、AMANZIに存在するありふれたバリアントrs16944によって増強されるため、このバリアントは、炎症促進や免疫抑制を増強する素因となる。我々の研究は、IL-1βとIL-37の発現を調整する、クロマチンを介する二相性回路を明らかにしており、これによって、単一のTAD内から機能的に相反する2つの炎症状態の調節がもたらされることが分かった。