Article

複合ヘテロ接合:大規模なエキソーム塩基配列決定データから複合ヘテロ接合を推測する

Nature Genetics 56, 1 doi: 10.1038/s41588-023-01608-3

潜性遺伝(劣性遺伝)疾患は、有害な遺伝的バリアントの影響をその遺伝子の両方のコピーが受ける場合に発症する。患者が、ある遺伝子に原因となる可能性のある2つのバリアントを持つ場合、正確な診断には、これらのバリアントが染色体の同じコピー(つまり、シス)にではなく、異なるコピー(つまり、トランス)に生じていることを決定する必要がある。しかし、現在の臨床現場では、親について検査する以外、相を決定する手法は限られている。本論文では、gnomAD(Genome Aggregation Database v2、n = 12万5748エキソーム)で観察された遺伝子型を利用して、遺伝子内の希少なバリアント対の相を推測する方法を開発した。我々の手法を用いれば、親と子の三人組データにおいても、また、メンデル遺伝病で原因となるバリアントを複合ヘテロ接合で持つと推定される患者においても、96%の精度で相が推定された。我々は、コード領域バリアントの相決定推定値や、遺伝子ごとのトランスに存在する希少なバリアントの数についての情報資源を公開しており、これは潜性遺伝疾患の状況において、共に生じている希少なバリアントの解釈に役立ち得る。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度