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うつ病:大うつ病の多民族集団ゲノムワイド関連解析は、関連座位の発見、ファインマッピング、遺伝子の優先順位付け、病因推定を支援する
Nature Genetics 56, 2 doi: 10.1038/s41588-023-01596-4
大うつ病(MD)のゲノムワイド関連解析(GWAS)のほとんどは、ヨーロッパ系の人から得た試料を用いて行われてきた。ここでは、これまでに報告されたデータにMD症例8万8316例、対照90万2757例を含む21コホートのデータを追加して行ったMDの多祖先系集団GWASを報告する。MDの定義に使用した尺度は一様ではないが、解析にはアフリカ系(有効サンプルサイズの36%)、東アジア系(26%)、南アジア系(6%)、ヒスパニック/ラテンアメリカ系(32%)の参加者が含まれている。この多祖先系集団GWASにより、53の有意な新規関連座位が見つかった。ヨーロッパ系を対象にしたGWASで見つかった座位のうち、他の祖先系集団にも当てはまるものは予想よりも少なかった。試料の多様性を高めることでファインマッピングの精度が上昇した。トランスクリプトームワイド関連解析では、205の有意に関連する新規遺伝子が特定された。これらの知見から、MDに関しては遺伝学的研究の対象とする祖先系集団の多様性を高めることが、重要な遺伝子の発見を確実にし、発見した知見の集団間での転用可能性を知るために特に重要であることが示唆される。