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骨髄増殖性腫瘍:一般的な血液学的形質に対する遺伝性の多遺伝子効果はJAK2V617Fと骨髄増殖性腫瘍の発生におけるクローン選択に影響を与える
Nature Genetics 56, 2 doi: 10.1038/s41588-023-01638-x
骨髄増殖性腫瘍(MPN)は、成熟した血液細胞の過剰産生を特徴とする慢性のがんである。それらの原因となる体細胞変異(例えばJAK2V617F)は、集団内におけるありふれた変異であり、その変異を保有していてもMPNを発症する人は少数でしかない。本研究では、一般的な血液学的形質の基礎となる多遺伝子座位を受け継いだときに、その座位がJAK2V617Fのクローン増殖に影響を及ぼすことを示す。我々は、JAK2V617F陽性に対する新たなリスク因子として、単球数と血小板クリット値の多遺伝子リスクスコア(PGS)を明らかにした。いくつかの血液学的形質に対するPGSは、異なるMPNサブタイプのリスクに影響しており、血小板に関する2形質についてのPGSが低い場合、JAK2V617F保有者で防御効果が見られ、PGSの高い保有者よりも本態性血小板血症を発症する可能性が2~3分の1に減る。また、体細胞ドライバー変異のない場合であっても、極端な血液学的PGSがMPN診断に関与することがあることが観察された。我々の研究は、一般的な血液学的形質の基礎となる多遺伝子座位が、体細胞変異に対するクローン選択とその後のがん表現型の両方に、どのような影響を及ぼすかを示している。