Technical Report

eQTL:トランスクリプトームワイド関連解析における遺伝的交絡因子を補正することで複雑形質のリスク遺伝子の発見が向上する

Nature Genetics 56, 2 doi: 10.1038/s41588-023-01648-9

ゲノムワイド関連解析から候補遺伝子を選び出すために、発現量的形質座位(eQTL)データを利用する多くの方法が開発されている。これらの方法には、共局在解析、トランスクリプトームワイド関連解析(TWAS)、メンデル無作為化解析に基づく方法などがあるが、これらの方法全てに重要な問題が含まれている。つまり、ある遺伝子のeQTLを用いて、形質におけるその遺伝子の役割を評価する場合、近くに存在するバリアントや他の遺伝子の発現に関わる遺伝的構成要素が、eQTLと相関し、この形質に直接影響を及ぼして、交絡因子として作用する可能性があるのである。今回、我々の広範なシミュレーションから、既存の方法ではこうした「遺伝的交絡因子」を考慮できず、深刻な偽陽性が増加することが明らかになった。我々の新しい方法であるcausal-TWAS(cTWAS)は、統計的なファインマッピングから考え方を借用し、全ての遺伝的交絡因子を補正することができた。cTWASによって偽発見率が補正されることをシミュレーションで示し、いくつかのありふれた形質にcTWASを適用することで新しい候補遺伝子を発見した。結論として、cTWASは遺伝子発見のためのロバストな統計学的枠組みとなる。

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