Article
クロマチン構成:クロマチンドメインのin vitro再構成から明らかになった3Dゲノム構造におけるヌクレオソームの配置の役割
Nature Genetics 56, 3 doi: 10.1038/s41588-023-01649-8
真核生物のゲノムは、クロマチンドメインへと構造化されている。これらのドメインの形成を促す分子機構はin vivoでの解析が難しく、まだほとんど明らかにされていない。本研究では、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)のクロマチンをin vitroで再構成し、ミクロコッカスヌクレアーゼに基づく3C(chromosome conformation capture)法と分子動態シミュレーションにより、その3D構造をサブヌクレオソーム分解能で決定した。規則的な間隔を持つ位相の合ったヌクレオソームアレイは、in vivoのドメインと類似したクロマチンドメインをin vitroで形成することが分かった。これによって、酵母における塩基性ドメイン形成には、ループ押し出しも転写も必要でないことが明らかになった。また、再構成されたドメインの境界はヌクレオソームを含まない領域(NFR)に対応し、インスレーション強度はそのNFRの幅に対応していることが分かった。最後に、ドメインの凝縮はヌクレオソームリンカーの長さに依存しており、リンカーが長いほど、より圧縮された構造が形成されることが分かった。まとめると、我々の結果は、規則的なヌクレオソームの配置がクロマチンドメインの形成に重要であることを実証し、ボトムアップの3Dゲノム研究に対する原理証明を示している。