紙がしわくちゃになる動態は単純に記述できる
Communications Physics
2018年11月9日
That’s the way the paper crumples
マイラーシートがしわくちゃになる過程の基盤となっている動態について報告する論文が、今週この研究知見により、1枚の紙がクシャっと丸くなる過程を正確に理解する際の複雑度が低下する。
1枚の紙をくしゃくしゃに丸める行為は単純だが、紙がしわくちゃになる動態は複雑だ。紙がしわくちゃになると、複雑なしわのネットワークが形成される。紙は、既存のしわに沿って選択的にしわくちゃになるが、以前と全く同じ順序で折りたたまれない限り、紙がしわくちゃになるたびに新しいしわが必ず形成される。折り目のついていない紙がクシャっと丸くなる過程を予測することが可能かどうかは分かっていない。
今回、Omer Gottesman、Shmuel Rubinsteinたちの研究グループは、薄いマイラーシートを1枚1枚円筒に入れて、くしゃくしゃにしてから取り出し、平らにならして、しわのパターンの形成過程を分析した。その結果、全てのしわの総延長は、ランダムに決まるのではなく特定の瞬間のしわの長さによって決まり、マイラーシートをそれまでに何度くしゃくしゃにしたか、あるいは現在のしわのパターンの構造がどうなっているかに影響されないことが明らかになった。そして、研究グループは、特定のマイラーシートの「くしゃくしゃ度」を特徴付ける量を定めることができた。
今回の知見は、幾何学的制約と力学的制約の下で生じる他の系(例えば、タンパク質の折りたたみ、地震の発生源となり得る地質断層系)の動態の特徴を明らかにするためのモデルとなる可能性がある、と研究グループは考えている。
doi: 10.1038/s42005-018-0072-x
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