【工学】仮想物体の形状を感じ取れるようになる軽量の手袋
Scientific Reports
2019年7月19日
Engineering: Lightweight glove allows wearer to feel the shape of virtual objects
仮想現実との相互作用によって触覚フィードバックをもたらし、着用者が仮想物体を感じ、取り扱えるようになる軽量の手袋という原理を実証する研究が行われた。この手袋について詳しく記述した論文が、今週掲載される。
着用者の動きを検出するセンサーと振動などの機械的刺激を介して物理的なフィードバックを提供するアクチュエーターを用いた手袋を着用すると、仮想現実における物体を感じることができる。以前に開発されたアクチュエーターは、仮想物体の感触を正確に再現できたが、その形状に関する情報を提供できなかった。
今回、Youngsu Chaたちの研究グループは、着用者がバーチャルハンドを操作して、仮想現実で物体を拾い上げ、その形状を感じることができる手袋システムを開発した。手袋の着用者が、手を動かして物体(仮想のチェス盤上のナイトの駒)を拾い上げると、手袋の内蔵センサーが指の動きを感知する。このセンサーからのデータは、ブルートゥースを使ってソフトウエアプログラムに送信され、このソフトウエアプログラムが、これに対応した動きを画面上のバーチャルハンドで再現する。仮想物体をつかむと、Chaたちが開発した一組の軟質シリコーン製アクチュエーターが作動する。アクチュエーターは仮想現実環境からの信号を受信し、それがアクチュエーター内部の空気を動かし、その中心にあるシリコーンを膨張させる。手袋着用者の指先は、膨張したシリコーンの圧力をまるで仮想物体に触れているかのように感知し、その結果、着用者は、その形状を感じ取り、仮想現実の中で仮想物体を拾い上げ、保持することができるようになる。
Chaたちの手袋システムは、従来のアクチュエーターが必要とした大きくて扱いにくい外部空気圧縮機を使わずに操作できる。Chaたちは、この手袋システムを別のソフトウエアとリンクさせれば、別の仮想現実環境でも使用できると考えている。
doi: 10.1038/s41598-019-45422-6
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