【エネルギー】時間帯別エネルギー料金の健康や経済への影響が公平さへの懸念を生む
Nature Energy
2019年12月17日
Energy: Health and financial impacts of time-of-use energy rates raise equity concerns
時間帯別料金のような、エネルギーの利用パターンを変えることを目標とした商品が、社会的弱者の一部の経済や健康に偏って悪影響を及ぼす可能性を示唆した論文が掲載される。こうした需要側応答の施策は、注目を集めているものの、エネルギー費と食品や医薬などの他の必需品にかかる費用のバランスを取るのにすでに苦闘している多くの世帯にとって不利益になる可能性がある。
今回Lee WhiteとNicole Sintovは、米国南西部の公益法人が行った社会実験に参加することにした世帯の部分集合である、7500世帯から得られたデータを解析した。参加したそれぞれの世帯は、エネルギー消費が最大になる夜間により多くの料金が請求される2種類の時間帯別料金のいずれか、あるいは対照群に割り当てられた。その結果、著者たちは、時間帯別料金に割り当てられた全ての世帯の請求額が増えたことを見いだした。しかし、高齢者や障害者のいる世帯では、非脆弱世帯と比べて、時間帯別料金の請求額がより多かった。さらに、障害者のいる世帯は、時間帯別料金に割り当てられた場合、暑さに関わる理由で診察を受ける傾向も高かった。また、ヒスパニック系世帯や低所得世帯では、時間帯別料金の請求額はそれほど増えなかったが、ヒスパニック系世帯の健康転帰は悪化した。
この研究は、需要側応答の影響が社会人口学的グループによって異なる可能性を示しており、広範囲に実施する前にそうした施策を検証して、すでに存在する不平等が悪化しないように努めなければならないことを示唆している。今回の調査は、気温の高い夏に行われたので、この結果をさまざまな料金設計や気候条件に対して一般化できない可能性がある。
doi: 10.1038/s41560-019-0507-y
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