科学コミュニティー:オーストラリアの天文学分野におけるジェンダー公正は、積極的是正措置によって2050年までに達成可能である
Nature Astronomy
2021年4月20日
Scientific community: Affirmative action can achieve gender equity in Australian astronomy by 2050
オーストラリアの天文学に関わる人々のジェンダー間の公正は、積極的是正措置を通じてのみ達成可能だが、その実現にはまだ25年を要することを示した論文が、Nature Astronomy に掲載される。
この数年にわたって、天文学における女性の地位向上に関する議論は、科学、技術、工学、数学における差別や公正に関する幅広い議論の一部として、しばしば先行して取り上げられている。しかし、対象を定めた採用や、改善された柔軟な労働条件などの多方面の取り組みが行われているにもかかわらず、さまざまな国際的な情報源からの人口動態データは、過去10年間の中堅・上級職における男女比が改善されていないことを示している。
今回、Lisa Kewleyは、Decadal Plan for Australian Astronomy(10年間のオーストラリアの天文学界の戦略的計画)の中間評価でまとめられたデータを、雇用形態だけでなく、女性と男性の昇進率と離職率を考慮に入れて分析した。その結果、女性が天文学界から離れる頻度は男性の2~3倍であり、離職率が著しく高いことが分かった。次に、Kewleyは、雇用率、昇進率、定年退職率、離職率を与えることで、オーストラリアの女性天文学者の比率を、学術界のあらゆる階層で予測できる全国的な労働人口モデルを作成した。現在の状況が維持された場合、オーストラリアの天文学界の労働人口に女性が占める割合は、今世紀末までどの学術階層でも33%に到達しないと思われる。一方、労働人口における女性の比率を高めようとする一連の政策と手法である積極的是正措置を講じれば、11年以内に33%に到達でき、25年以内にジェンダー間の公正を達成できる。
Kewleyは、天文学界での真のジェンダー間の公正を達成するためには、女性天文学者の採用率を高め、定着率を向上させることが必要だが、それだけでは不十分だと結論付けている。彼女は、性差別や侮辱的言動、自覚のない差別、その他の差別に対する明確な行動も必要であると主張している。
doi: 10.1038/s41550-021-01341-z
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