注目の論文
物理学:梁の振動を使って「ビッグG」を測定
Nature Physics
2022年7月12日
Physics: Beam vibrations used to measure ‘big G’
振動する金属梁の間に働く重力相互作用を調べることで、ニュートンの重力定数を測定したことを報告する論文が、今週Nature Physics に掲載される。スイスアルプスの地下にある実験室で行われたこの実験によって、重力の動的性質に関する知見が得られた。
ニュートンの重力定数は、ビッグGと呼ばれ、2つの物体の間の重力の決定に関与する基本定数である。このビッグGの値は、実験的に決定しなければならない。しかし、ビッグGの測定値の幅が広いためその不確かさは比較的大きく、不確かさの起源の全てが既知であったりよく理解されたりしているわけではないことが示唆されている。従って、これまでとは異なる測定方法が必要である。
今回Jürg Dualたちは、スイスアルプスの下の元地下軍事施設(ここでは、極めて静かで温度が安定した環境が得られる)にある実験室において、支持体から2本の梁を平行につるし、梁の1本を振動させた。その結果、梁の間の重力相互作用によって、もう1つの梁に運動が誘起され、これまでの実験よりずっと高い周波数でのビッグGの動的測定が可能になった。
関連するN&VではChristian Rothleitnerが、著者たちの「実験は、ニュートンの重力の法則を検証する未知の領域に入っており、重力のより完全な理解につながる重要な道筋である」と述べている。
doi: 10.1038/s41567-022-01642-8
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